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犬のお伊勢参り

 江戸時代の後期(1700年代後半から100年の間)、犬がお伊勢参りをしていたという事実を知っていますか?

それも人に連れられてではなく、犬が単独でお伊勢参りをしたのです。作り話ではなく、たくさんの史実が残っています。

※興味ある人は、「犬の伊勢参り」(仁科 邦男 著)をお読みください。

なぜ、犬の伊勢参りをしたのか

 江戸時代を通して人々の間でお伊勢参りは大変人気があり、全国から参拝に行っていました。

江戸時代の後期の人口は約3,000万人と見込まれていますが、多い時には400万を超える人たちがお伊勢参りをしたようです。

驚きの比率!

ただ、様々な理由でお伊勢参りをできない人もいて、その人の代わりだったり、町や村を代表して犬がお伊勢参りをしたらしいのです。

旅の目的を書いた手紙、暮らしていた町や村の名前を書いた名札、少々の旅費を首に下げてお伊勢参りに行くのが、犬のお伊勢参りの一般的な形だったようです。

なぜ、犬が伊勢参りができたのか?

 犬が、お伊勢参りをして元の町や村に帰ってこれたのは、きちんと理由があります。

犬が持つ人懐っこさや帰巣本能も影響していたでしょう。

でもそれだけではないのです。

ご紹介しますと・・・

  • 餌をあげ餌代を頂戴する代わりに、お賽銭がわりの幾ばくかの小銭をその犬に持たせたり
  • 宿に泊めてあげるだけでなく、次宿までの便宜をはかったり
  • さらに首に下げている小銭が増えて重たそうになっていると、両替して犬の負担を減らしてあげたり
  • お札やお金が増えすぎて犬が運ぶには重たくなりすぎると、その荷物だけを配送してあげたり
  • 病気の犬がいれば、かごに乗せて運んであげたりなど・・・

人々が、犬が道中に支障が無いように世話を焼き、またある種の敬意をはらい、不自由を取り除いてあげる優しさを持っていたからなのです。

首に下げた小銭を盗む事例が全く無かったことはないようですが、それは、例外中の例外だったようです。

そして、無事帰郷すればその犬を尊び、記念碑まで建立する町や村があったそうです。

江戸時代後期の人と犬の関係

 江戸時代の頃の犬は、現代のように特定の飼い主がいるわけでなく、里犬(町犬、村犬)として、町全体、村全体で世話をしていました。

主には、子供が世話をしたり遊び相手だったようです。

おおらかでとても心温まる話です。

私はこの話を聞いて、日本人が持つ真面目さや優しさを誇りに思い、江戸時代の人たちは、真の意味で多様性を受け入れることができていたのだと、とても感心しました。

飼育する、支配する動物として扱うのではなく、犬なども町や村(共同体)の立派な一員として一緒に暮らしていたのです。

今、見直したいこと

 現代は、個人を尊重する反面、強み・弱み、成績・実績、優劣など他人と比較をする面も強い気がします。

力(知力、体力、財力、権力など)があるかないか、他人より優れているかいないといったことを重視する中においては、真の意味で多様性を認めることはできないと・・私は思います。

長寿化することで、かなり幅広い年齢層の人々が同じ時代を暮らすようになり、考え方や価値観がさらに多様化していくこれからの時代には、根本的なことを見直す必要があるのかもしれません

江戸時代は、庶民が活躍した時代です。
世界的に見ても非常に数少ないことである・・と聞いたことがあります。

これからの人生設計やキャリア設計を考えるときに役立つ大きなヒントが、江戸時代の庶民の生活の中に隠されている気がします。

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