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高齢期ほど楽しみ

多様な生きがいを持つ高齢者

 浮世絵が大好きです。

特に、浮世絵師の中でも「葛飾北斎」が一番好きです。
理由は、多作であり、彼岸へ逝く直前まで絵を描くことに対する情熱を失わなかったからです。

現代では、The Great Waveの名称で、世界的にも有名な葛飾北斎ですが、生前は、割と晩年(40歳前後)になって有名になりました。

その上、68歳で脳卒中を患い、生活を支えてくれていた妻を失い、社会性に欠ける一面もあったため、いろいろと苦労をしたようです。

その様な中、代表作である『冨嶽三十六景』を制作したのは70代に入ってからなので、絵に対する情熱には本当に驚愕させられます。

江戸時代の老後に対する価値観

 江戸時代には、高齢者こそ人生を楽しむことができるという価値観がありました。


知識や人生経験が豊富な高齢者は、非常に尊敬されていました。
乳幼児期に、彼岸の世界へ逝ってしまう確率が現代よりかなり高かったため、平均年齢は短く、長寿であること自体が尊敬される要因であり、目上の人を敬う価値観が明確だったことも影響していたようです。

現代は老後と言いますが、江戸時代では、『老入(おいれ)』と言って、高齢期こそ素晴らしいという価値観があったようです。

「老後」には、どこかしらマイナスイメージがあるので、かなり違った捉え方です。

生涯学び続けることを大切にする

 上記の要因に加えて、一生涯学び続けていくことが大切であるといった価値観がしっかりあったことも、高齢者を敬うことにつながっていたのではないかと、私は考えます。

現在の小学校にあたる寺子屋で、最初に学ぶものの一つに『実語教』があります。
教養書なのですが、全体を通して生涯学び続けて知恵をつけることの大切さを説いています。

「実語教は学問の出発点である。亡くなるまで、ここに書いていることを忘れてはならない」

という文章で最後をを締めくくっています。

そして、90歳で彼岸へ逝った葛飾北斎の言葉は
次のものです。

「あと10年、いや5年だけでも長生きすることができれば、真の絵師になれたのに」

葛飾北斎は、特別な人材であったと思いますが
多くの人が一生涯学び続けることが大切である価値観を持っており、そのことにより豊富な知識や経験や独自の哲学などを持っていて、それらが、尊敬の対象になったのではないでしょうか。

現代日本が失ったもの

江戸時代の育児、女性の生き方、高齢者の生き方について知識を深めていき驚かされたのは、現代とかなり違った価値観や考え方があることです。ざっくり言いますと、現代と真逆であると感じます。
加えて私は、江戸時代の方が豊かな人生を送れる価値観や考え方であると感じました。

いつの時代に、何がきっかけとなって変わっていったのでしょうか。
時代と共に、価値観や考え方は変わっていくものですが、失ってしまったものは大きいと思います。

人生観や就労観(個人のキャリア)を考えるときに自己理解を深めることが土台になるとよく言いますが、その前に、自国の歴史や歴史の中で培ってきた価値観や考え方を学ぶことが必要であると思います。

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